北欧合唱団の歩み
                                 大束省三

 北欧合唱団が生まれて40年と言うとやっぱりちょっとした感慨がある。
 あの頃はまだ戦後の雰囲気が残っていた。日本国民は自由に外国に出ることさえ出来なかった。1冊の美しい北欧の歌の本が北欧の世界をしのばせてくれた。それが私をその世界へといざなった。

 40年、ずいぶんいろいろなことがあったが、やはりいちばん印象に残ることと言えば5回の演奏旅行になるだろう。

 ●1968年/ デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド
 ●1974年/フィンランド、スウェーデン、ノルウェー
 ●1993年/ フィンランド、デンマーク、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン
 ●1996年/ ノルウェー
 ●1999年/デンマーク

 聴衆はどこでも大変好意的で、親切さが心にしみた。あの美しいメロディーがこんな風景や人々の生活の中から生まれたのだと実感できたのが最大の収穫だったろう。私たちは彼らによって育てられたのだと思う。
 歌はことばと音楽の接点である。時間をかけて言葉を知り、言葉を支えとして歌うのが正道だと思う。音楽の能力は、そうすれば自然に育ってくる。
 人と人との心のつながりほど大きくて強いものはない。親友のシェルが2002年1月1日にくれた年賀のファックスの最後に「また会いたい。できるだけ早く。そして一緒に歌いたい。ぼくはあきらめてはいない。」とあったのを読んだ瞬間に12月8日にはシェルとアンドルーとハワードとイングヴィルに来てもらおう、と心に決めた。幸い彼らのスケジュールも何とかなった。
 今、楽しい思い出がいっぱいよみがえってくる。ゆっくりと、厳しく、しかし楽しく勉強するのが私たちのやり方だ。その成果が、いま、問われようとしている。
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